最近随所を見て回るに議論の仕方というかなんつーかもうちょっとメタなところにシフトしつつある風潮があるんかいな。
メタっつーか議論のシステマチックな部分というか。
触発された記事はこのへん
・善ポコのタコ部屋(3/30)
・若隠居の徒然日記(3/28)のコメント欄のplummet氏とのやりとり
ちょっと法案から離れて全体の議論の流れを俯瞰してみる。
と、その前に自分の立ち位置を音極堂茶室(J2氏)のポジションマップを元に示してみる。
えーと。共産党の位置かな。
(万感込めた沈黙)・・・まぁそのへんてことで。
ここでディベートの手法であるとか専門外のことを言ってみても専門家には叶わないんで、あえてシステム開発における設計手法の方向から切り込んでみる。
まぁ今回の本道とは違うのを承知でやってみるんで無理は承知ぃ。
あー。あと。
飲んで書いてるので理論が破綻してるかもしれませんがご勘弁を(ワラ
(4/2 PM追記 )
システムの設計ってのは発注側の要望と予算、受注側の利益のせめぎ合いで、そこを解決し両得になるような手法ってのが設計手法として色々提案されてます。
そのうち発注側と受注側の対立構造が、今回の、法案を挟んだ推進派と反対派の言論と似通ってるなぁと感じてたわけで。
似てると感じたポイントは次のあたり
・アクター(登場人物)が対立構造にあるポジションをとっている
・期限が限られている
・何もしないことが双方ともに損をする構造にある
こう書くと若干こじつけくさいかも。
私自身がとる設計の手法はまずフェーズを次のように分けます。
0.立ち位置の確認
1.夢想(拡大)フェーズ
2.選別フェーズ
3.収束フェーズ
4.確定フェーズ
各フェーズでは次のようなことをします。
立ち位置の確認
自身が何をしたい(得たい)のか確認します。
商取引であれば確認するまでも無く自明ですのでこのフェーズは省かれることも多々あります。
よって、番号が0なわけです。
夢想(拡大)フェーズ
ひたすら双方やりたいことをとことん列挙します。このフェーズでは「0だからできない」や「これは難しい」といったネガティブな発言を禁止します。このフェーズの目的はシステムに対する双方の要望を出し尽くすことです。
よってここで出てくる提案には相互に矛盾が出ることもありますがそこに触れてはいけません。
選別フェーズ
前のフェーズで出たものから、「似通ったもののグルーピング」「因果関係のある用件同士の連結」「矛盾している用件同士の[矛盾の連結]」などをしながら対立関係や相互補強などの全体の傾向をつかむ。
収束フェーズ
選別が完了した中から時間的、予算的都合をみて優先度を設定し、「must(必須)」「critical(重要)」「importance(注視)」「notice(適宜)」「info(留意)」「drop(破棄)」に分類する。
この優先度によって高位のものは低位のものに優先することで議論の集約をはかる。
確定フェーズ
収束した構想を時間軸に貼り付けマイルストーンを設定する。
このやりかたのキモは全て0と1に集約されてて、要するに議論を開始する前に自分の考えをはっきりさせておくことと、一度相手の言論を認めてみようということです。
その過程で相手が何を考え何を問題視しているのかを正視し、自分と相手との乖離点を各々が認識することで、以降の議論の回帰や論点の離脱を防ぐ狙いがあります。
ここが一般の議論でも使えるんじゃなかろうかと思えるわけです。
今回の法案論の流れをこの方法論を通してみてみると3/15の法務部会での「審議継続決定」のあたりまでが拡大フェーズであったことは間違いないことだと思う。
この辺までで論議が多くの人の目に触れ多くの人がこの問題に関心を持ったことの功績は反対まとめサイトであったりデスノート風Flashあたりによるものであるというのは議論の余地は無いと思う。
確かに、その手法がどうだ という議論を否定するものではないが、多くの人の目に触れる必要があると考えるあの時点で、ある程度ショッキングな主張でアジデーションであろうとも公示するという目的の元であることを考えてある程度の評価をするべきだと思う。
3/15以降BI@K氏やan_accused氏のような、前記のポジションマップで言うところの客観的「分析」派諸氏の登場で、ネット上の議論が(方法論に従えば)選定フェーズに移行すべきであったと思うが、議論は大きく2分化され、
・客観的分析派(以下分析派)の議論からくる収束傾向
・感情的拒絶派(以下拒絶派)の議論から来る拡大傾向
という感じになった。
ここで双方が犯したミスは結局のところ対案を示さなかったところだと思う。
ここは非常に反感を呼ぶところかと思うが、ここで言う対案とは結局「相手側の主張の逃げ道をふさぎつつ、自陣に流入させる道」を作ることなわけで、別の言い方をすれば「細かい対立点に譲歩し大きな対立点での譲歩を引き出す」ってことが必要だったのかと。
一歩引いた視点で両陣営の流れを見てると、双方とも結果的に「自分の立ち位置からさほど動かずに相手の譲歩を得」ようとしているように見える。
(これはどちらか(もしくは双方)を批判してるわけではなく結果論として双方を見ているだけなのであしからず)
このへんで初めて現れた立ち位置の相違は善ポコ氏の言うところの議論の噛みあわなさってあたりにあらわされていて、法の解釈論と生悪論では話がかみ合うわけがない。(心情的にはBI@Kさんやan_accusedさんあたりが歩み寄りを見せたと見たいが)
その結果選別フェーズに移行すべきであった議論が二分化されてる現状になってるんだと思う。
では、両陣営が自陣を優位に議論するために必要な対案とは何だったのか。
偉そうに発言するのも気が引けるが、人権委員や擁護委員の選任事項を例にあえて言うならば、分析派は「恣意的な委員の任命が不安なのであれば憲法改正並の2/3決議ではどうか」などを提示すべきだったと思うし、拒絶派であれば「今の議員が全て入れ替わるまで施行を猶予するのはどうか」等を提示すべきだった。
そうすることで双方の主張や許容できないポイントが明白になり新たな議論が生まれる土壌が育ったのだろう。
余力のあるときに追記する予定。
ここから追記部分
しかしながら、この状態を生み出した直接的な原因は先のポジションマップで言うところの、柔軟性反対派(我ながら命名センスねー)のような感情的反対派と論理的反対派の間に立つネゴシエーター的な論者が発生しなかったことであろう。
(手法はともかくとして)両者の言っていることに一理あるわけで、かつ論ずる方向性が違っているため使った労力が結果に反映されにくい形になってしまっている。
誤解を招く例えであることを承知であえて言うならば、「誘拐犯と警察の対立」のような構造だ。(現実の交渉とかは知らずにテレビドラマのイメージ)
対立構造:
(`Д)】 < 娘は預かった。返して欲しくば1億用意しろ。
|警 ]
あ?誘拐は重罪だぞ?わかってんのか?>【(Д´ )対立に対する行動:
(`Д)】 < うるせー馬鹿。そんなこと聞いてねぇよ。娘殺すぞ
|警 ]
娘殺したら誘拐殺人で死刑まであんだぞコラ >【(Д´ )
(ここで「アクターがどの陣営をあらわすか」という議論は本質論ではないので省く。)
ここに交渉人を挟むことで
交渉人の犯人に対する交渉:
へっへっへ。ダンナ上手いこと交渉して金とってきますぜ。 >【(∀` )
でも一億はきっついんでとりあえず3千万ぐらいならなんと |
かなりそうなんですがどうでやんしょ? |
(`Д)】 < ぬう、仕方ない。でも期限は今日いっぱいだぞ。交渉人の警察に対する交渉:
へっへっへ。ダンナ上手いこと譲歩を引き出しましたぜ。 >【(∀` )
とりあえず引き伸ばしますんで、その間にぱぱっと捜査 |
して犯人の居場所突き止めちゃいましょうよ。 |
[警|
(`Д)】 < むう、それもそうだな。でも金は出せんぞ。
と、議論の方向性に一定の制約をかけることを狙えるわけだ。
(この場合論点は時間と金)
(前述の方法論に話を戻すと、顧客と製作者(プログラマー)の間に設計者(SE)が立って両者の譲歩を引き出す形になる。)
このように両者の間で議論を収束させるような役割の人間が登場することで、もっとスムーズに収束フェーズに到達できるのではなかろうか。
以上が現状を俯瞰してみた感想です。
両者の立つスタンスには充分な必然性があり、その方針を貫くことを批判するものでは無いことを最後に明記しておきます。
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