しかし4日で12冊はハイペース過ぎた。
寝不足で頭いてぇ(‘A`)
以下レビュー

十二国記シリーズ

著者 小野不由美
出版 講談社ホワイトハート

十二国記 – wikipedia

NHKアニメワールド 十二国記

『月の影 影の海』

慶王赤子陽子が王になるまでの物語
現代日本で生まれ育った陽子が異世界(十二国)に踏み込み、それまでの価値観が徐々に破壊されていく過程と、新たな価値観が再生するまでの過程が生々しい。
虚海を超える以前の陽子は万人に体して優しく、悪く言えば八方美人と捉えられるような性格で、これがそのまま麒麟の性と同じであることが興味深く、虚海を超えてから雁にたどり着くまでの旅路を麒麟から王への変遷の道のりと捉えると尚一層味わい深い。
麒麟の仁性は続くストーリーにも続くテーマだが、読み返せばこの最初の巻ですでに触れられていると気づいた時このシリーズの面白さの一片を知ったのかもしれない。

『風の海 迷宮の岸』

泰麒の誕生と泰王登頂までのストーリー。
麒麟という生物(?)を一番掘り下げたストーリーになってる。
慶王と同じく現代日本に流れ付いた胎果である高里 要が十二国世界で麒麟として目覚め、驍宗を王とするまでの過程から、麒麟の性質、性格を感じとることができる。
おそらくこの巻は麒麟というものを掘り下げることに主眼が置かれていて、ストーリーは副次的なものに過ぎないのかもしれない。

『東の海神 西の滄海』

雁の内乱を通じて延王、延麒の生い立ちや人となりを掘り下げるストーリー。
内乱の中心となる延王 延麒と、斡由 更夜のペアの生い立ちに相似点があるところが面白い。
延王 斡由は王の親族として生い立ち、共に王となり得ないという宿命を持っていた。(延王は後に親族の死亡により一時的に王となるが)
しかし延王が豪放磊落で一見ちゃらんぽらんだがその実 王族としての断固たる決意を持っていたのに対し、斡由は真面目で一見情け深い名官吏でありながらその実深い嫉妬と強い強迫観念を持つ。
これはコインの裏表のようなもので、ある意味 斡由は延王のダークサイドであってその意味においてはこのストーリーは 延王の悪しき自分との対決の様相になっている。
もう1つのペア延麒と更夜は両者とも孤児の生まれであり、片や蓬山で厚く遇された延麒と、妖魔(後のろくた)に育てられながらも妖魔と同一視され迫害された更夜と対称的である。
このあまりに似すぎ、あまりに対称的なペアはその主従関係や、戦争に対するスタンスなどにおいても対称的で、その対称性がストーリーに深みを与えているのだと思う。

『風の万里 黎明の空』

慶王となった陽子が、傀儡でなく真の王として立ち上がるまでを描いたストーリー。
同じ海客である陽子と鈴、王家の一員であった(ある)陽子と祥瓊の2つの対称性を軸に展開するストーリーと、遠甫に十二国を学びながら慶王としての国家像を固めてゆく陽子の成長を描くストーリーが同時展開し非常に面白い。
終章での慶王初勅はその過程を読む程に味わい深い名文だと思う。
また、祥瓊の旅程で出てくる次巻の主人公 供王の供麒 打擲のシーンで出たセリフは麒麟の考え方の問題点に対して非常に指摘的だ。
このシーンほど麒麟というものを正確に表したシーンも他に無いと思う。

『図南の翼』

供王珠晶の王になるまでの過程を描いたストーリー。
この巻では作者の「王」像が描かれているのだと思う。
王像を引き出す重要なキーパーソンが、国に属さず自由ながらも厳しいアウトローな朱氏 頑丘であり、他の愚かな王候補達だろう。
未知の状態に陥ったとき、困難な状況に陥ったときに王(リーダー)は如何に考え如何に行動すべきか、そういった「王」とは何かが蓬山行を種に見事に描かれている。
その集大成が犬狼真君との会話だろう。
ストーリーとは関係ないが、供麒邂逅のシーンでは前巻のやりとりを思い出してニヤリとした。

『黄昏の岸 曉の天(そら)』

戴での内乱によって蓬莢(日本)に流された泰麒と、それを助けるため奔走する李斎と慶王や各国の王麒麟たちのストーリー。
# 物語が泰麒の帰還までで止まっているので、泰王帰還編でなるであろう次巻で多くの伏線が明かされるであろうことを考えるとレビューとしては中途半端になるので多くは書かない。

石田衣良作品

電子の星 池袋ウエストゲートパーク4

「東口ラーメンライン」「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」「電子の星」の4本。
東口ラーメンラインはIWGPスープの章の元になったのかと思っていたら全く別物だった。
4本とも池袋(東京)のダークサイドを濃密に描きながらも読み終わると爽やかなのはさすが石田作品だとしか言いようが無い。
この中だと「ワルツ・フォー・ベビー」が一番好きかな。


積んである本:
華胥の幽夢(十二国記外伝)
4TEEN
これから買う:
反自殺クラブ(池袋ウエストゲートパーク5) – 文庫化されたら
アキハバラ@DEEP
東京DOLL
(‘A`) 寝不足はしばらく続きそうだ