十二国記に続いて読み返し始めた。
相変わらず読みはじめたら止められないおかげで寝不足番長(‘A`) ネムス
デルフィニア戦記 -Wikipedia-

国内の貴族の陰謀によって王位と命を狙われ、城を脱出しかろうじて難を逃れたものの単身再び王の座を奪回せんとする若き国王ウォルの前に、異世界より紛れ込んできたという謎の少女リィが現れる所から物語は始まる。
王位の奪還・隣国との争い・謎の刺客との戦いなどを通して、ウォルとリィを中心とした多くの魅力的な人物が活躍する姿を描き出した一大英雄譚である。

もともと1-10巻まで持ってたんだけど、これを機に揃えてしまおうってことで書店に並んでた11-13を買って14-18はAmazonからの配送待ち状態。復刊された王女グリンダもついでに買っておいた。
金曜日から読みはじめて土日含めた3日間で1-13と王女グリンダ、あと十二国記シリーズの「魔性の子」まで15冊一気に読破。
(‘A`) さすがにやりすぎた。

デルフィニア戦記

著者:茅田砂胡
発行:中央公論社C☆NOVELS
デルフィニア戦記 全18巻(amazon)
(おそらく)中世ヨーロッパをモデルにした英雄譚。
アベルドルン大陸にある3大国家デルフィニア、タンガ、パラスト間の覇権争いを中心とした戦記で、そのうちの一つデルフィニアの人物を中心に物語が展開する。
大きく分けて以下の4部構成となっている。

内乱により国を終われた妾腹の王ウォルが異世界からやってきた少女リィと出会いやがて一度失った王座を奪還するまでの第1部(1-4巻)
タンガ王子と王女となったリィの縁談をきっかけにタンガとの戦争集結までを描いた第2部(5-8巻)
タウの資源を争い始まったパラスト、タンガ同盟との戦争を描いた第3部(9-13巻)
大陸の覇を決する最終戦を描いた第4部(14-18巻)

出て来る人物がそれぞれ魅力的で味があり、シリアスな部分はシリアスに、喜劇的な部分は喜劇的に、実に魅力的なストーリーである。

王女グリンダ

著者:茅田 砂胡
発行:C・NOVELSファンタジア
王女グリンダ(amazon)
デルフィニア戦記のアナザーストーリー。
登場人物はデルフィニア戦記と似通っているもののただの外伝ではなく、まったく別の物語である。
本来こちらが正史となるはずだったが、出版社の倒産によって廃刊となってしまった。
読者の強い要望により復刊することになったが、作者の強い意向により続編が作られる事は無い。
デルフィニア戦記と設定が大きく違うのは、

親衛隊が組織されている。
近衛隊は存在しない。
デルフィニア軍は12将軍の率いる軍(騎士団?)とイヴン率いる独立部隊という構成
リィは王女でありながら将軍職を持っている
シェラが最初からファロット指揮下にいる
スケニアがアベルドルン大陸の大国として描かれている
ナシアスは登場しない

と、こう見るだけで全く違う物語であることがわかる。
もちろん2冊発表しただけで倒産の憂き目に会い完結していないため、デルフィニア戦記とは比べるまでもないが、それでも十分楽しめる物語になっている。
とはいえ、あくまでもアナザーストーリーとして楽しいので、デルフィニア戦記を読み終わってから読む事をお勧めする。

魔性の子

著者:小野 不由美
発行:新潮文庫窶買tァンタジーノベル・シリーズ
魔性の子(amazon)

教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は”報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、”高里は崇る “と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した”神隠し”が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?

「自分を受け入れてくれる別の世界が存在する」
主人公広瀬はそう感じる自分を「故国喪失者」と呼ぶ。
そんな広瀬は高里に対し同じ故国喪失者として強いシンパシーを抱く。
「いつか見たあの世界に帰りたい」その思いは高里との邂逅によってより一層強くなっていく。
この本はファンタジー小説の十二国記の外伝でありながら、唯一異色のホラー小説となっている。
勿論描かれている猟奇的な死もこの本がホラーであることの一因であることは間違いないが、この小説でもっとも恐ろしいのはそのラストシーンだろう。
物語中では2-6の生徒をキャンバスに描かれる「未知の恐怖」への対応の遷移、恐怖-排除-恭順を(排除は極めて微小ながら)より強く より潜在的に遷移した広瀬はラストシーンで厳然たる事実と信じて疑わなかった高里への恭順に名を借りた「故国の存在」を絶望的なまでに否定されてしまう。
その-信じて疑わなかった故国-が自分には存在せず、圧倒的なシンパシーを感じた高里に存在するという無慈悲な現実。
それを目の当たりにしてしまった広瀬のアイデンティティが崩壊してしまう恐怖感、絶望感、高里に対する羨望と裏返しの嫉妬心、これらが全てごちゃまぜに織り込まれた最後の叫び、これこそがこの作品をホラーたらしめる一番の要素だと思う。
十二国記シリーズに先駆けて執筆されたこの物語が、何の破綻も無く、かつ相互の謎を補間する形(*1)で見事に絡み合う様は見事としか言いようが無い。
Web上にあるレビューを見る限りこの作品を読んでから十二国記を読む方が良いとなっているようだが、どちらから先に読んでも破綻なく、かつ味わい深く読む事ができると思う。

*1:相互に補間される謎:
「魔性の子」での謎:なぜ延王だったのか、麒とは何か、高里が手を付く事を強く拒否したのはなぜか、高里に憑いているものは何なのか
「十二国記」での謎:行方不明になった泰麒は6年間何をしていたのか、なぜ蓬莢から戻った泰麒は成長していたのか


読んでない本:
巨頭会談 ビートたけし (著) 新潮文庫
ブルータワー 石田 衣良 (著) 徳間書店
買う予定:
スカーレットウィザード(1-4、外伝) 茅田砂胡
暁の天使たちシリーズ 茅田砂胡
迷ってる本:
荻原 規子作品
アルスラーン戦記 田中 芳樹 (著)