反対党がその法案をそんなに嫌うなら、この次の総選挙に買って絶対多数を制して自民党内閣を叩き潰してその法律を廃止すればよいのです。
いま反対党のあなた方には、政府の提出する法案を阻止する権限は国民から与えられていないのです。
子供じゃあるまいし、そんな幼稚なお説教を聞く耳は持たないとおしかりを頂くことは必至でしょうが、
そんな幼稚な事すら行われていないのが現在の国会のありようではないでしょうか。
重ねてしつこく言いますが、政府自民党は自分の考えている政策を法制化して実行に移す権限を国民から与えられているのです。
そんならどんな無茶をしてもいいのか。
実力を以てしてもそれを阻止することが反対党の国民に対する義務だとお考えになる先生方がいるようなら、そういう先生方にあえて申上げます。
国民の良識をなめてはいけませんよと。
政治家が一番恐ろしいものは国民の判決です。馬鹿な政治をやった政府でこの判決をうけなかったためしはありません。
このごろのマスコミの論調をそのまま輿論だとお思いめさるな。国民はそんなに軽率でもないし一方的でもありません。
ただもっともっと国民が主権者であって主権者のみが最後の判断を下すものだという単純な事実を認めて、それを信じてくださいとお願いするばかりです。
この頃の議会政治のあり方はあまりに馬鹿げています。こういう間隙につけこむのが独裁政治などの非民主的の政治体制です。
日本も民主政治になってから、もう相当の時間が経つのに、このありさまでは先が思いやられます。
民主主義がもらいものの付け焼刃でありことは残念ながら事実ですが、
国会ぐらいはすくなくとも、民主主義は板についてきた位の印象を国民に与えるべきだと思いますが、どうですか。
それが少々ウソであっても。


答え:白洲次郎 (諸君! 1969年10月号)
プリンシプルのない日本(P246-248より)
40年たっても状況が全く変わっていないことにそろそろ本気で考えなきゃいかんですよ。特に民主党。