闇将軍―野中広務と小沢一郎の正体 闇将軍―野中広務と小沢一郎の正体
松田 賢弥

講談社 2005-09
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思いのほか面白かった。


大きくは田中角栄以降の自民党における野中広務と小沢一郎の権力闘争を軸に、日本の国政に大きな影響力を持つ二人の政治家の素顔に迫るドキュメントになっている。
筆者自身が野中広務に少なからずシンパシーを得ている部分があるようで、若干親野中広務 反小沢一郎的なテイストは残る物の、二人の政治的な姿勢や指向がよく分かる。
言わずもがな小沢一郎は民主党の党首として現在も日本の政治にとって外す事のできないプレイヤーであり、現在の日本の政治というものをウォッチする為に非常に面白い本だった。
内容について細かく言及する事はあえて避けるが、この本に書かれている事件/事象を頭に入れた上で「小泉自民党が何をしたかったのか」「小沢民主党が何をしたがっているのか」というのが見えてくるんじゃないかと思う。
また、加藤紘一、山崎拓、小渕恵三、橋本龍太郎、竹下登、金丸信といった政治家のシルエットが浮かんでくる事で、自民党の抱えるおおきな歪みみたいな物がうっすらと見えてくるのだと思う。


正直これまで野中広務という政治家に対してあまり良い印象を持っていなかったが、この本を読んで”好印象を持ったとは言わない”けれどもその政治姿勢について理解が多少なりともできるようになった。
彼の出自が反野中という文脈中で語られる事が多い昨今において、その根幹理念を理解することはやはり最低限必要じゃないかと思う。
そういう意味において逃げる事無く真っ正面から「野中広務」を描ききったこの本は良書と呼ぶに足るんじゃないかと素直に思う。