この条例に対して積極的にアプローチしているアクターとその構造をリストアップして俯瞰してみる。
あまりに多岐に渡りすぎるので個人は割愛。
積極賛成派
これは主にPTAになるとおもう。
毎日新聞によれば
要望したのは、都小学校PTA協議会(都小P、加盟248校)▽都私立中学校高等学校父母の会中央連合会(同246校)など5団体。都小Pの新谷珠恵会長 が「児童を性的対象にすることが野放し状態。子供を健やかに育てるため、社会の力を借りないと環境整備できない」と説明した。
と、都小学校PTA協議会など5団体とか。
都小Pの主張はブログにあった。
青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶や青少年を性的対象として取り扱う漫画・アニメ等の蔓延防止と、青少年のインターネット利用環境の整備に関する以下の規定を盛り込んだ青少年健全育成条例改正案が、第1回都議会定例会に提出されました。
○子どもを守るため、子どもが健やかに育つために、みんなで児童ポルノを根絶する責務を自覚すること
○漫画やアニメのうち、幼い子どもが自ら性交を求め、快楽を得ているかのようなものや、親子や姉弟・兄妹間の激しい性交があたかも愛情表現の一環であるかのように描かれているものなど、子どもに対する悪質な性行為を描いたものを、子どもに見せない、売らないようにすること
○携帯電話を介したインターネットの有害情報を巡り、子どもが児童買春などの犯罪やトラブルに巻き込まれたりすることのないように、フィルタリングの実効性を確保すること
ゾーニングとフィルタリングをきちんと行い、むやみに青少年に対してそのような商品を提供しない社会基盤を求めてる。
うーん。asciiで見た記事(削除されてるのではてブ)で感じたトンガリ具合に比べてかなりマイルドに。
というか極めて真っ当な主張にしか見えないがどうか。
都中Pの主張も似た感じ。
昨今、メディアからの過激な性情報を始め、著しく性的感情を刺激する図書類等の販売、ケータイやインターネット普及による有害サイトなど、性産業の商業主義から子どもたちを対象とした性情報の氾濫が目に余ります。
このような中で、書店やコンビニ等で一般の書籍と同列に並べられて販売されている状況には反対します。言うまでもなく、区分陳列や青少年への販売規制はもちろん、有害サイトの根絶を支持しています。
特に、子どもたちの人権を傷つけ児童虐待となる児童ポルノの根絶や被害者の救済・支援は急務であると考えます。
東京都中学校PTA協議会
まぁそりゃそやね。
積極反対派
出版側のアクターは出版倫理協議会とその母体となった4団体(日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会・日本書店商業組合連合会) とやたら声のでかいコミック10社会になるか。
主張は小学館のサイトから。
《東京都青少年健全育成条例改正案可決に抗議します》平成22年12月15日出版倫理協議会議長 鈴木富夫本日、東京都議会は、賛成多数で青少年健全育成条例改正案を可決しました。漫画・アニメの制作者から広範な反対の声が上がり、出版界もこぞって この条例改正案の問題点を指摘し続けてきたにもかかわらず、改正案が可決に至ったことに、私たち出版倫理協議会(日本雑誌協会、日本書籍出版協会、日本出 版取次協会、日本書店商業組合連合会の出版4団体で構成)は強い憤りを表明します。
都当局がこの改正案の条文全文を明らかにしたのは、 定例議会開始直前の11月22日であり、それからわずか3週間余で、まともな議論も経ないまま可決に至らせた行為は暴挙と言うほかありません。その間、都 当局は、当事者である漫画家やアニメ制作者との話し合いの場を持つこともいっさいなく、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為などを「不当に賛美し又 は誇張」した表現を規制する、というきわめて曖昧で抽象的な文言が加えられたことにより、漫画・アニメの制作現場には、さらなる混乱と不安が広がっていま す。
そもそも付帯決議に盛り込まれた「第七条第二号及び第八条第一項第二号の規定の適用に当たっては、作品を創作した者が当該作品に表 現した芸術性、社会性、学術性、諧謔的批判性等の趣旨を酌み取り、慎重に運用すること」「東京都青少年健全育成審議会の諮問に当たっては、新たな基準を追 加した改正条例の趣旨に鑑み、検討時間の確保など適正な運用に努めること」という文言は、漫画家や出版界が以前から強く主張してきたことではありますが、 ここに記された「慎重に運用」「適正な運用」は、現行条例の範囲内でこそ行われるべきものです。
私たちは、この条例改正に今後も断固とした反対の姿勢を貫くとともに、平成23年7月の施行を見据えながら、さまざまな機会を捉えて行動を起こしていく所存です。
出版倫理協議会、およびコミック10社会が、東京都青少年健全育成条例改正の動きに抗議する声明を発表 | お知らせ | 小学館2:コミック10社会「東京国際アニメフェア2011に関する緊急声明」
平成22年12月10日緊急声明
12月7日深夜、角川書店の井上伸一郎社長がツイッターで表明した「東京国際アニメフェア2011」への出展取りやめは、瞬く間にネット上で大きな反響を巻き起こしました。言うまでもなく、同アニメフェアの実行委員長は石原慎太郎東京都知事です。
石原都知事は、今回の「東京都青少年健全育成条例」改正に関して、たびたび漫画や漫画家に対する不誠実で無理解な発言を繰り返し、同改正案の成立を突き進めております。
「東 京都青少年健全育成条例」改正に関しては、規制の対象が極めてあいまいであるとして多くの議論を呼び、本年6月に否決されたことは、周知の事実です。こう した改正案に新たに修正を加える場合、その内容と条文をあらかじめ公にして、議論を尽くすべきですが、今回、都側は、そのようなことを一切実施していませ ん。この改正案は、最も重要視されるべき漫画家やアニメ制作者との話し合いがただの一度も行われないまま、今日に至っております。
また、提出された改正案についても、これまでの出版界と都当局との話し合いの歴史を踏みにじるものであり、規制の対象は依然あいまいで、むしろ拡大さえしています。
こ うした経緯を踏まえれば、当事者である漫画家やアニメ制作者が、都側の一連の行動および改正案に強い怒りと不信感を抱くのは当然です。漫画家・アニメ制作 者の、漫画やアニメの未来を憂える発言に対して、本来ならば石原都知事と都当局は、真摯に耳を傾けるべきだと考えますが、それさえ行おうとせず、事実誤認 に満ちた不誠実な発言を繰り返し続けています。
我々は、こうした石原都知事および都当局の、漫画家・アニメ制作者たちに対する敬意に欠 けた姿勢に強い不信感を抱かざるをえません。このような状況において、石原都知事が実行委員長として開催しようとしているアニメのイベントに賛同し、行動 をともにすることは到底できるものではありません。
我々は、「東京国際アニメフェア2011」への協力・参加を断固、拒否します。
以上コミック10社会秋田書店 角川書店 講談社 集英社 小学館 少年画報社 新潮社 白泉社 双葉社 リイド社
出版倫理協議会、およびコミック10社会が、東京都青少年健全育成条例改正の動きに抗議する声明を発表 | お知らせ | 小学館
出版社側の言い分としては、
- 条文の規定があいまい
- 現行条例で充分で規制を強化する必要はない
- 漫画家やアニメ製作者との話し合いを持て
あたりか。
なんか全然噛み合ってないな。
中立・ノーポジ派
一般有権者がここにいるんじゃないか。
個人的には東京都もここに含めたい。
東京都が行政府として積極的に規制する理由が「推進派による突き上げ」以外に思い浮かばないし。
対立構造洗い出し
対立軸を挙げるとするなら現状に対する問題意識か。
現状の規制を問題視する推進派に対し、現状で充分であるとする反対派といった構図になると思う。
現状の分析は別のエントリでやるとしてこの軸を中心に各々がどう見ているか。中立の一般有権者をどう取り込むかが長期的な戦略のコアになっていくとおもう。
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