東京都青少年の健全な育成に関する条例及び規則について(平成22年12月22日公布) を元に、今回の改正で何が変わったのかを読解してみる。
本来は改正後の条例を元に読解すべきだけどさすがに力尽きるので新旧対照表と、前のエントリで作成した旧条例のマインドマップから変更点を抽出する。
このエントリで使用したマインドマップはこちら。
なお、特に明記しない限り、単なる表記の変更や条項号の番号変更については割愛する。
- (1/5 修正: 3-3の画像が表示されていなかったのを修正)
新設 – 携帯電話端末等の推奨(第五条の二)
従来の推奨制度に、携帯、PHSのフィルタリング機能が対象として追加された。
・・・なにゆえ携帯限定なのか。ワカラン
改正 – 第三章 漫画・アニメでの不当な性描画指定の追加(第七条―第九条の三)
今回の騒動の根幹部分にあたるのがここ。
具体的な改正箇所は、
- 第七条で旧来の「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」という表現を一項に分離し、二項を新設
- 第七条二項で「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を新規追加
- 第七条二項の追加に伴い、第八条二項、第九条のニ 二項を追加
- 第九条の三に、繰り返し指定を受ける業者に対する勧告を強化
といったところか。
第七項二項で追加された文言は
(「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」 or 「婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為」)を不当に (「賛美」 or 「誇張する」) ように ( 「描写」 or 「表現する」) ことにより~
という文章規則で読む。
「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」は強姦や強制わいせつ、青姦やこの条例でも規制される青少年とのセックスを、「婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為」は近親相姦によるセックスを指す。
これらのものを「賛美」または「誇張する」ように書いたものを一般紙で書くなということだ。
注意すべきはこの条例で発売禁止などの処分をすることは不可能で、あくまでも青少年の目に触れないようにレーティングとゾーニングを徹底しなさいとしているに過ぎない点である。
少なくとも条文では。
新設 – 第三章の三 児童ポルノ及び青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る責務(第十八条の六の二・第十八条の六の三)
児童ポルノ及び青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る責務として第三章の三が新設された。
内容として
児童ポルノ及び青少年のうち13歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態
を視覚により認識することができる方法でみだりに性欲の対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等
と指定しているところから、明確にロリもののイメージビデオを狙い撃ちしてるのがわかる。
(これがどういったものかは「ロリ イメージビデオ – Google 検索」 を参照)
全裸になってない、性器が露出していない、セックスしてないという言い訳でイメージビデオという逃げ道を作ってきたこれらを規制しようとしている。
改正条例ではこれらのビデオや図書類に対して、
- 保護者等は13歳未満の子供が出演しないよう保護監督および教育に努める
- 事業者は13歳未満の子供が出演しないよう努める
- 都知事はこれらに反しているものがあれば事業者と保護者に指導、助言を行う
- 都知事は必要であれば保護者、事業者に説明、資料の提出を求めることができる
としている。
13歳未満に限定しているのは、本人の意志の及ばない出演を考えているのだと思う。
・・・ただ正直生ぬるいと思う。
改正 – 第三章の四 インターネット利用環境の整備(第18条の6の4-第18条の8)
意外と強烈な改正となってるのがここ。
今まではざっくりとした努力目標だったネットのフィルタリングを、「、青少年のインターネットの利
用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態を踏まえ、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスの性能及び利便性の向上を図るように努めなければならない」として、
- フィルタリングサービス提供者
- フィルタリングサービスの指針を作成する団体
- フィルタリング対象を選別する団体
- プロバイダ
- 携帯キャリア
- ネットカフェ、漫画喫茶
- 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者
と広範な業者に対しフィルタリングへの努力を求めている。
・・・ASP事業者としては最後の条項が気になる。
また、保護者に対して子供がネットを介して不法行為を行った場合の指導が追加されるなど、全体的に子供のネット利用に対し周囲の配慮を強く求めるようになった。
まとめ 今回の条例で狙い撃ちにされたもの
こうして見てみると今回の条例で狙い撃ちにされたものは、
- 漫画・アニメでの一般紙などにおける不当な性描写
- イメージビデオとすり抜けてきたAVもどきのロリビデオ
- 援助交際や裏学校サイトなどで脚光を浴びた携帯、ネットサイト
であるのがよくわかる。
漫画やアニメでの性描写についての現状は別エントリに記載するが、総じて規制も已む無しという印象だがどうだろうか。
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